2007年08月28日

豊胸術を成功させるポイント(1)

前々回、人工乳腺の歴史とそれぞれの特徴を紹介しましたが
今回は実際に人工乳腺を利用した豊胸術を
成功させるポイントについてお話ししたいと思います。

豊胸術の仕上がりは、手術後のバストの形が自然で
さわってみた感触も柔らかいのが理想です。
この理想にどれだけ近いかは、
以下に示す4段階のグレードで評価されます。

グレード1:誰がさわっても自然で柔らかい感触
グレード2:「少し固いかな」と疑問に思う程度
グレード3:形は自然なのに、さわると明らかに固い感触がある
グレード4:感触も固く、形も変形している

美容外科の世界では、グレード2までが合格点とされています。
以前はグレード1は少なかったのですが
最近では手術方法が改善され、グレード1が多くなっています。

それではグレード1を実現するには、
どのような点に注意すべきなのでしょうか。

まず下の図をご覧ください。
これは患者さまの胸部の概略と、
人工乳腺の挿入位置を示したものです。

Fig_19

アナトミカル型の人工乳腺は、
乳腺と大胸筋の間に挿入するのですが
そのためには乳腺の下に“ポケット”を作る必要があります。
このポケットを作るために、まずワキの下をシワに沿って
4〜5センチほど切開します。(創部)

次に切開部分から指を入れ、乳腺と大胸筋を剥離していきます。
だいたい6〜7割くらいまでは指で剥離していくのですが
その後は「剥離子」と呼ばれるヘラ状の器具を使って
人工乳腺を入れるのに必要な大きさまで剥離していきます。

実はこの剥離操作をどれだけうまく行えるかが
豊胸術の仕上がりを大きく左右します。
最大の注意点は、適切な範囲で剥離を行うことです。

まずアンダーバストの位置ですが
あまり下まで剥離すると人工乳腺の位置が下に下がり
乳首が不自然に上に向くことになります。
逆に剥離が足りないと人工乳腺の位置が上になるため
バスト上部が盛り上がり、乳首が下を向きすぎる結果になります。
このラインを最適な位置に定められるかどうかは
ドクターの経験と美的センスに依存します。

次に剥離部分の左右の幅ですが、
中央部分は胸骨ギリギリまで剥離するのが
きれいなバストを作るためのコツです。
ただしこの部分を剥離しすぎると、
左右の剥離部分がつながってしまい
かまぼこ状のバストになっていまいます。
またこうなると人工乳腺のワキの下側に
癒着が起きやすくなります。

逆に中央部分の反対側、つまり身体の外側の部分は、
体側の中心線である「中腋窩線」まで剥離します。
この部分を十分に剥離しておかないと
仰向けに寝たときのバストの形が不自然になります。

そして当然のことながら、丁寧に剥離していくことも重要です。

術後のバストが固くなったり変形したりする原因は
大きく分けて3つ考えられます。

まず第1は、剥離操作中に出血し、炎症を起こしてしまうこと。
こうなると人工乳腺周囲の被膜が厚くなり(被膜拘縮)
ポケットのサイズがだんだん小さくなります。
その結果、固くて変形したバストになってしまうのです。

第2は胸骨側と外側の剥離が不十分なケース。
こうなるとバストの左右に広がりがなく、
仰向けに寝たときの形が楕円形になり不自然になります。

そして第3は、胸骨近くに索状物が残ってしまうケースです。
胸骨の近くは創部(切開部分)から遠いため
じっくり作業を行わないと、剥離が不十分になってしまいます。
剥離する部分には、結合組織や神経、血管などがありますが
神経と血管をきちんと残しながら、
結合組織を丁寧に取り除く必要があるのです。

これらの問題はすべて、適切な技術を持ったドクターが
丁寧に作業することで回避できます。
「肌の細胞が若返るACR療法(3)」では
ACR療法で高い効果を得るには
手際の良さとスピードが重要だと述べましたが
豊胸術では時間をかけて丁寧に作業を行うことが
美しいバストを作るためのポイントになるのです。

posted by コムロ美容外科 at 16:00 | バスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする