2007年09月18日

インプラントを成功させるために(2)

前回、インプラントの施術方法をご紹介しましたが
今回はこれを成功させるポイントについて
お話ししたいと思います。

最も重要なポイントは、一般的なことですが
患者さまと術者との信頼関係だと思います。
「インプラントはどんなものなのか」
「インプラントで何がどう変わっていくのか」
「インプラントが長持ちするための要素(条件)はなにか」
などよく相談し、治療効果や治療計画について
お互いに理解しあうことが必要です。

次に重要なことは術者の的確な診断力と技術です。
長期にわたって安定して使い続けられてこそ
インプラントは成功したといえるのですが
そのためにはインプラントを行う部分に十分な骨と
固い歯茎(専門的には付着歯肉といいます)が
あるかどうかが一番のポイントです。
それ以外では、残っている歯や歯茎の状態、
噛み合わせ、全身的な問題なども関わってきます。

前回述べたように、歯を支えている骨(歯槽骨)は、
歯が抜けてしばらくするとほとんどの方は
多かれ少なかれ骨がやせていきます。
このことが一番厄介なのです。

総入れ歯のお年寄りの方の歯茎がやせてきて、
(顎の骨がなくなって平坦になる)
入れ歯が安定せずにガタガタしているのはそのせいです。
あまり退化せず、骨や歯茎が丈夫な方も
たまにいらっしゃいますが、
この場合はほとんど問題なくインプラントが可能で、
予後がいいのです。

それではなぜ十分な骨が必要なのでしょうか。
インプラントはどこのメーカーも
ほぼ円柱形をしたチタンのねじで作られています。
その太さや長さは様々なものが用意されていますが、
それでも奥歯の大臼歯ほど大きいものはありません。
丈夫な土台となるためには、太くて長いものが一番です。
そのためそれを収めることができる
骨の厚みと高さが必要とされるのです。

骨の高さが低いと他の自分の歯に比べ、
歯茎の位置が低くなり不自然な形態になってしまい、
歯磨きもしにくくなります。
また厚みが薄い場合には、
細いインプラント体を使わざるを得ません。

一般の歯周病(歯槽骨が溶けて歯がグラつく病気)治療で
ご存知の方も多いと思われますが、
歯茎や骨のマネージメントはきわめて重要で
しかも大変なことなのです。
失った骨を数ミリ増やすだけでもたいへんな作業です。

また歯周病治療と同様、インプラントの場合も
ぶよぶよした軟らかい歯茎ではなく、
ひきしまった固い歯茎があれば
インプラントが長く安定して使えるのです。

骨にインプラントを植え込むだけであれば
単純な作業で、ひとときは
それなりに固いものも食べられます。
しかしその効果が長続きしなければ
そのインプラントは失敗だといえます。

インプラントが長持ちするか否かを見極めるには、
骨や歯茎の状態を、術前の口腔内写真、
X線のパノラマ写真とCTの撮影、顎模型などにより
適切に評価、診断する必要があります。

特に上あごにインプラントを行う場合には
この診断をよりシビアに行う必要があります。
上あごには「サイナス(上顎洞)」と呼ばれる空洞があり
下あごに比べて骨の高さが短いからです。

十分な骨がない場所にインプラントを行う場合には
「骨増量術」と呼ばれる施術を行います。
(骨移植をはじめさまざまな方法があります)
これは通常のインプラントに比べ難易度が高く、
専門的な外科テクニックが必要になるため
施術に必要な時間とコストも増大します。

前回述べたような“失敗例”が増えている背景には
必要な骨量や歯茎が不足しているにもかかわらず
インプラントに踏み切ったケースが
数多く存在しているからではないかと考えられます。
この「骨の許容量の判断」は、一番難しい部分です。

無理をせずに諦める勇気もときには必要かもしれません。

歯を支える骨は、歯が抜けたあと徐々に小さくなっていくため
歯が抜けたらできるだけ早く診てもらうのが理想的です。
数年たっていざインプラントを希望しても
肝腎の骨がないと新たに骨を作る必要があるためです。

歯が抜けたばかりの頃の穴(抜歯窩)の形態は
円柱状のインプラント体とは形が異なるので、
インプラントの周りの間隙に代用骨(β−TCP等)や
自家骨を血小板(PRP)とともに入れ、
その上に人工膜をかぶせ
インプラント周囲の骨を再生させます。
(抜歯後即時埋入術)

以前は抜歯後、傷がおちついてから
インプラントを行う方法が一般的でしたが、
最近はこの方法が多くなってきています。

繰り返しになりますが、
もしインプラントを考えていらっしゃるのであれば
できるだけ早く専門医に診てもらうべきです。
それもできるなら、一般歯科のドクターではなく
口腔外科のドクターに診てもらうといいでしょう。
前述のようにインプラントの診断、施術には
外科の知識が重要になるからです。

このような知識と経験を十分に持っている
信頼できるドクターを選ぶこと。
これがインプラントを成功させるためのコツだといえます。

posted by コムロ美容外科 at 16:00 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする