2009年03月10日

プラセンタ療法〜点滴療法研究会(2)

 

前回は「高濃度ビタミンC点滴療法」によるガン治療について紹介しましたが、「点滴療法研究会 第11回実践セミナー 2009」には、他にも興味深いセッションがありました。今回はその中から、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターの日比野先生が発表 した「プラセンタ療法」を紹介したいと思います。

 プラセンタとは胎盤のことであり、これがアンチエイジングに効果があるということは、かなり古くからわかっていました。すでに中国では紀元前、秦の始皇 帝が不老不死の妙薬としてプラセンタを使用しており、あの楊貴妃も常時服用していたことが知られています。また西洋でもヒポクラテスが治療に利用した記録 があり、クレオパトラやマリー・アントワネットも若返りや美容の目的にプラセンタを使用していたといわれています。

 現代ではプラセンタ の有効成分を抽出したプラセンタエキスが、注射液やサプリメントなどの形で使用されています。この種の製剤として有名なのは「ラエンネック」ですが、すで に1959年から肝炎や肝機能不全に使用されています。そして最近になってプラセンタエキスが様々な疾患に効果があると認められるようになり、アンチエイ ジング領域でも利用が拡大しているのです。

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(ラエンネックのパッケージ写真、上が注射用、下がサプリメント)

 胎盤には実に多様な成分が含まれており、プラセンタエキスにも様々な生理活性物質が含まれています。また肝成長因子や神経成長因子といった生理作用の強い各種因子の存在も確認されています。これらの物質や因子が働くことで、多様な効果をもたらすというわけです。

 それではプラセンタ療法によって、どのような効果が期待できるのでしょうか。

 まず内科系では、肝炎、肝硬変、慢性胃炎、胃弱、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、糖尿病、高血圧、低血圧、気管支ぜんそく、慢性気管支炎、貧血、慢性疲労、習慣性便秘などに効果があります。

 婦人科系では、更年期障害、月経困難症、便秘、冷え性、生理痛、不妊、乳汁分泌不全、高プロラクチン血症などに効果が認められています。

 この他にもアトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎の改善、発毛促進、肩こりや神経痛の改善、さらには花粉症にも効くことがわかっています。

 そしてもちろん美容にも効きます。シミやそばかす、しわ、タルミ、ニキビなどを改善する他、美白や若返りの効果もあるのです。

 まさに「万能薬」といえそうな効能ですが、やはり実際の使用にあたっては注意点もあります。

  そのひとつが「ヒト由来のプラセンタを使用した療法を受けると献血が行えない」ということです。プラセンタ製剤にはヒト由来のものとブタ由来のものがあ り、一般に注射剤ではヒト由来のもの、サプリメントではブタ由来のものが使用されています。点滴療法ではヒト由来のものを使用するため、事前にこのことを 説明し、ご理解いただく必要があります。

 このような制約は感染症拡大防止を目的としたものです。もちろんプラセンタ製剤の製造過程では 感染症を防止するための安全策が講じられており、プラセンタ注射で感染症が発症したというケースはまだ確認されていません。しかしクロイツフェルト・ヤコ ブ病のようにまだ十分に解明されていない感染症も存在するため、現時点では「献血を行うべきではない」ということになっているのです。

  プラセンタ療法は適用領域が広いだけではなく、高濃度ビタミンC療法と同様に「副作用がない」点も大きなメリットです。特に私にとっては、安全にアンチエ イジングに活用できる点が最大の魅力です。コムロ美容形成クリニック(旧コムロ美容外科)ではすでに10年前からプラセンタを使用しており、数多くの症例 で効果を確認しています。

 前回ご紹介した高濃度ビタミンC点滴療法にも、今後は積極的に取り組んでいきたいと考えています。

  美容外科の施術を行う場合、事前に必ず綿密な検査を行うのですが、この時にガン等の病気が見つかることも少なくありません。その場合、これまでは抗ガン剤 などによる治療を行う必要がありましたが、結局のところ「延命効果しかない」ケースを数多く見てきています。しかも抗ガン剤による治療は副作用が大きく、 QOLが大幅に低下します。そもそも美容外科というものはQOLを高めることが目的なので、患者さまがこのような状況になってしまうのは、とても悲しいこ となのです。

 しかし高濃度ビタミンC療法なら、副作用がなく免疫力も高まるため、ガン治療を行いながらQOLを高めることも可能です。 ガン予防に活用することもできるでしょう。ひとつだけ問題があるとすれば、この療法は厚生労働省に認可されていないため、国内では健康保険がきかないこと です。でも美容外科そのものも健康保険がきかない分野なので、私がこの療法に取り組む上では、それほど大きな問題ではないともいえます。

 これからは高濃度ビタミンC療法やプラセンタ療法のように、副作用がなく、免疫力も高まる療法がどんどん一般的になっていくはずです。単に病気を治すだけではなく、QOLを高めながら健康を維持する。このような療法こそ理想だと思うのです。

posted by コムロ美容外科 at 17:43 | 美容点滴・注射 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする