2010年2月9日
前回に引き続き、今回もいれずみ除去の話をします。今回のテーマはメスを使ったいれずみ除去の基本ともいえる「切除法」のポイントです。
前回ご紹介したように、切除法ではまずいれずみの中央を通りラインに沿って皮膚を切開し、いれずみ部分の皮膚を除去した後、切除部分の外側の皮膚を引き伸ばして切開ラインに寄せ、切開ラインで縫合します。ここで大きなポイントになるのが、周りの皮膚を自然な状態で引き寄せることです。そのためにはいれずみの大きさに対し、約3倍の切開ラインを確保する必要があります。
直径1センチ程度のいれずみの場合は、この方法を使って1回でいれずみを除去できます。切開の跡も3センチ程度なので、それほど目立ちません。しかし大きないれずみの場合には、切開跡も大きくなってしまいます。そこでお勧めしているのが、複数回に分けて切除する方法です。例えば2回に分ける場合には、次のようなステップで施術を進めていきます。
まずいれずみの中央を通るラインに合わせていれずみ部分の皮膚を切開します。切開するのはいれずみの大きさの3倍ではなく、いれずみの端から端までです。つまり最小限の切開で済ますわけです。その分、切除可能な面積も小さくなります。いれずみ全体の大きさに対し、切開ラインの上下を1/2程度まで切除します。その後周りの皮膚を引き伸ばして縫合すれば、いれずみの大きさは半分になります。
この施術から半年後、また同様の施術を行います。前回と同じラインで切開を行い、残っている部分のいれずみを切除し、周りの皮膚を引き伸ばして縫合します。これでいれずみは完全に除去されます。
この方法は複数回の施術が必要になりますが、切開跡を最小化できます。また1回の施術で周りの皮膚を引き伸ばす量も少ないため、施術後の皮膚にかかる力も小さくなり、衝撃などで縫合した部分が開いてしまうという危険も避けられます。
いれずみのデザインが複雑な場合も、複数回に分けたいれずみ除去をお勧めします。例えば動物の姿をいれずみにしている場合には、まず胴体の部分を除去し、次に首の部分、足の部分と段階的に除去していくのです。一気に全体を除去するのに比べ跡が小さくなる上、皮膚に無理な力がかかりません。もちろんこのような施術では、どのような手順で施術を行うのかという「センス」が重要になります。
このようにいれずみ除去では、施術の回数を増やすほど無理が少なく、施術の跡も小さくなります。実際にいれずみ除去を行う際には、納得のいくまでドクターとご相談されることをお勧めします。