2012年08月28日

眼瞼下垂修正:再手術のケーススタディ(1)

このブログではこれまでにも、何回か眼瞼下垂を取り上げて、その修正術について説明してきました。今回はちょっと特殊な症例を取り上げて、実際にどのように治療をしたのかを紹介します。また眼瞼下垂の治療を受ける上で気をつけるべきことについても、改めて指摘したいと思います。

このブログをお読みの方はすでにご存じだとは思いますが、眼瞼下垂について簡単に復習しておきます。

眼瞼下垂とは、先天性や長期間のコンタクトレンズ着用、加齢などの様々な原因で上まぶた(上眼瞼)を引っ張り上げる筋肉「眼瞼挙筋」が伸びきってしまい、上まぶたが垂れ下がってしまう症状です。上まぶたが下がってしまうと物が見えにくくなるため、額の筋肉でまぶたを引き上げようとします。その結果、頭の後ろの筋肉に負担がかかり、慢性的な肩こりや猫背になりやすくなります。また猫背の姿勢が続くことで、腰痛や腰部椎間板ヘルニアになることもあります。

そのためできるだけ早い段階での治療をお勧めしたいのですが、適切な治療を受けるには、ドクターの選択が重要になります。眼瞼下垂の修正術自体はそれほど難しい施術ではないのですが、それだけに「経験の乏しいドクター」や「見よう見まねで施術を行うドクター」も少なくないのです。

また施術方法の選択も、留意すべきポイントです。眼瞼下垂の修正法には、大きく分けて3種類あります。

まず「メスを使う修正術」として一般的なのが「眼瞼挙筋短縮術」というものです。これは伸びた眼瞼挙筋を一部切除して、短くする方法です。この方法は筋肉の血流が一時的に阻害されるため、1〜2ヶ月ほどまぶたが腫れることがあります。また眼瞼挙筋をどの程度切り取るべきかという判断が難しく、瞼が上がり過ぎて、ぎょろ目になったりと思った仕上がりになりにくいという問題もあります。

一方「メスを使わない修正術」として広まっているのが「埋没法」というものです。これは伸びきった眼瞼挙筋をまぶたの裏側から糸で固定して、引っ張り上げるという方法です。プチ整形の一種で手軽に行える上、「埋没法しかできないドクター」も多いため、この施術を勧めるクリニックが少なくないようです。しかし埋没法は糸を引っかけた部分に炎症が起こり、正常な組織が線維化して機能を失う危険性があります。その結果、上まぶたの形が不自然になってしまうことがあります。

これらの施術の問題を解決した第3の施術が「眼瞼挙筋オーバーラップ法」です。これは私が13年前に開発したものです。「眼瞼挙筋短縮術」と同様にメスを使う施術なのですが、皮膚切開を従来の半分で済ますことができ、眼瞼挙筋の切除も行いません。このため血流が保たれ、術後の腫れも少なく、同時に二重やまぶたの脱脂、たるみや凹みの修正も同時に行えます。詳しくは「眼瞼下垂:さらに進化した修正術(2)」をご参照ください。

さて、それでは本題に入ります。今回ご紹介する症例は、ちょっと特殊なケースに分類できると思います。患者さまは約20年前の交通事故で右目を損傷した結果、徐々に眼瞼下垂になっていきました。そこで17年前に、ある形成外科で「眼瞼挙筋短縮術」の施術を受けることになったのです。

この形成外科では、1回で思い通りの結果を出すことができず、施術を2回行うことになりましたが、結果は満足には至らなかったそうです。しかも施術後の腫れもひどかったといいます。

それから10年ほど経って、別の美容外科で施術を受けることにします。ここで行われたのは「埋没法」でした。眼瞼挙筋を3カ所固定する「3点埋没法」という施術です。施術後しばらくは多少の効果がありましたが、その後再び眼瞼下垂の症状が戻ってきます。

そして三度目の正直ということで、患者さまが選ばれたのが、コムロ美容形成クリニックでした。

下の写真は、ご来院されたときの目の状態です。両目を思い切り開いていただいているのですが、右目がほとんど開いていません。また17年前の施術跡と思われる傷痕も残っています。

Fig01.jpg

私は最初にこの患者さまを見た瞬間、「これは簡単には修正できない」と直感しました。

当院には他のクリニックで眼瞼下垂の施術を行った後、再手術のために来院される方が少なくありません。そして以前に行った「埋没法」の結果として、眼瞼挙筋が癒着しているケースを数多く見てきました。このような症状の再手術は、ただでさえ難しいのです。

今回の患者さまのケースは、それに輪をかけた難しさになるはずです。すでに「眼瞼挙筋短縮法」を2回、「埋没法」を1回受けた結果、現在の状態になっています。上まぶたの動きを見ても、眼瞼挙筋の機能がほとんど失われているようです。また眉を上げてもまぶたが上がっていません。一般的な眼瞼下垂に比べて、はるかに症状が重いといえます。

しかし、だからこそ、「自分がやらなければ誰がやるんだ」という気持ちにもなりました。この症状に対応できるドクターは、私の他にはほとんどいないはずだと確信したのです。

しかし眼瞼挙筋をいじってみても、おそらく何の改善にもつながらないはずです。そこで今回は、通常の眼瞼下垂修正術とは異なるアプローチで施術を行うことにしたのです。

(次回に続く)


posted by コムロ美容外科 at 16:00 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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