2012年09月11日

眼瞼下垂修正:再手術のケーススタディ(2)

前回の続きです。これまでに他院で4度、眼瞼下垂の修正術を受け、それでもなお症状が改善されなかった患者さまのケーススタディです。今回は実際の施術内容を解説します。

すでに4回施術を受けて、眼瞼挙筋の機能はほとんど失われているようです。しかしまだ確定ではありません。まず眼瞼挙筋の状態を確認する必要があります。まぶたの中の状態を把握するためと施術跡を綺麗にするために、通常通りの切開幅を少し取ったデザインを行います。

Fig02.jpg

皮膚切開を行い、中の状態を確認します。下の写真をご覧ください。白い組織の中にある、細くて赤い筋が、眼瞼挙筋です。非常に細くなっており、すでに機能していないことがわかります。

Fig03.jpg

これでは眼瞼挙筋への施術を行っても効果はありません。そこで今回は、通常とは異なる方法を採用します。筋膜でまぶたを固定することで、下垂状態を改善するというアプローチです。

使用する筋膜は、患者さまの大腿部から取り出します。筋膜とは筋肉を包んでいる膜です。強靱なコラーゲン繊維なので、まぶたを固定するには最適な素材です。大腿部から取り出す筋膜の大きさは、2cm×4cm程度です。これをさらに、1cm×4cmに切り分けます。

Fig04.jpg

次に上まぶたの下から眉の上にかけて、2本の皮下トンネルを作ります。ここに先ほどの筋膜を通し、固定するのです。眉の上には眉を上下させる前頭筋があります。この前頭筋と上まぶたをつなぐことで、眉の動きとまぶたの動きを連動させ、まぶたを吊り上げられるようにするわけです。

Fig05.jpg

下の写真は、皮下トンネルに筋膜を通し、前頭筋に固定したところです。

Fig06.jpg

下の写真は、まぶた側を固定したところです。

Fig07.jpg

2本の筋膜を使うのは、左右のバランスをコントロールしやすくするためです。1本だけではこのコントロールがうまくいきません。施術中に固定位置をずらしながら、最適なポジションを決めていきます。この微調整もドクターの腕の見せ所です。

下の写真は施術直後の状態です。施術前に比べて、右目のまぶたが上がっています。眉を下げたときに、まぶたがギリギリ閉じない程度(薄めを開けているような状態)にするのが、ベストポジションです。

Fig08.jpg

患者さまからは「施術を受けてこんなに腫れなかったのは初めて」だといわれました。これは私にとって、とても嬉しいコメントです。

今回の施術は他のケースでも応用できるはずです。近いうちに学会で発表することも考えています。

このような再手術は、経験を積んだ外科医にとっても決して簡単ではなく、非常にやりにくいものです。眼瞼下垂の施術自体は難しくはないのですが、他のドクターが施術をした後は状態の把握が難しく、眼瞼挙筋の機能が低下しているケースも少なくないからです。

眼瞼下垂の修正を行う場合には、ぜひとも最初のドクターを、慎重に選んでいただきたいと思います。
posted by コムロ美容外科 at 16:00 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする