2012年06月26日

鼻中隔延長術(短鼻を修正してシャープな鼻に)(2)

前回は短鼻修正の効果が大きい「鼻中隔延長術」の概要をご説明しました。今回は具体的な施術方法をご紹介します。

この施術は基本的に、鼻柱を切開して視野を確保する「オープン法」で行います。軟骨の位置を組み替えることで鼻全体の形を変えていく施術なので、施術箇所の視野が確保しにくいクローズ法で行うことは、適切ではないからです。また手術時間が2〜3時間程度かかるため、麻酔も局部麻酔ではなく全身麻酔を行います。

施術の手順は以下の通りです。

(1)施術を受ける方の耳から、耳介軟骨を取り出しておきます。

(2)鼻柱を切開し、鼻翼軟骨上から鼻骨上までを剥離します。

(3)鼻翼軟骨上の軟部組織を切除し、軟骨をきれいに露出させます。

(4)鼻翼軟骨の頭側(外側鼻軟骨と接している部分)を切除し、外側鼻軟骨との結合を切り離します。これは鼻翼軟骨の位置を動かせるようにするためです。

(5)左右の鼻翼軟骨を切り離し、鼻中隔軟骨の前縁(先端部分)を露出させます。

Fig2-1.jpg

(6)鼻中隔軟骨の一部を切り取って採取します。

(7)採取した鼻中隔軟骨を2分割します。これは2枚重ねにして強度を確保するためです。

(8)採取して2分割した鼻中隔軟骨を、残してある鼻中隔軟骨の前縁に固定します。これによって鼻中隔軟骨を延長します。鼻中隔軟骨は必ずしも鼻の真ん中に位置しているわけではなく、左右どちらかに偏っているケースが一般的です。そのため採取した鼻中隔軟骨を固定する場合には、元の鼻中隔軟骨が左右どちらに偏っているかによって、固定位置を決めます。例えば右側に偏っている場合には、2枚とも左側に固定すれば、全体のバランスが取りやすくなります。偏っていない場合には、元の鼻中隔軟骨を採取軟骨2枚で挟み込む形で固定します。

Fig2-2.jpg

(9)延長した鼻中隔軟骨に合わせて、鼻翼軟骨の位置を先端方向にずらします。鼻中隔延長はI型インプラントによる隆鼻術を同時に併用することがあります。I型インプラントの下端に耳介軟骨を付けて、鼻尖部分の形を整えます。この時、インプラントは経時的に頭側に移動することがあるので、固定が必要です。

Fig2-3.jpg

(10)最後に全体のバランスを確認した上で縫合します。

この施術のポイントは、鼻翼軟骨の位置を前方にずらすことで、鼻を長くしているという点にあります。鼻中隔軟骨の延長は、あくまでも鼻翼軟骨の位置を変化させるために行うわけです。

長さ方向だけではなく、鼻尖の上下方向の変化もつけることができます。鼻尖をどのような位置に固定するのかによって、鼻のイメージは大きく変わります。

自由度が高い分、ドクターの美的センスも問われる施術なのです。
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2012年06月12日

鼻中隔延長術(短鼻を修正してシャープな鼻に)(1)

これまでにもご説明したように、日本人の鼻は欧米人に比べて短く、鼻尖が低くて丸いという特長があります。ご自身の鼻に関して次のようなご要望をお持ちの方は、決して少なくありません。

・短い鼻をのばしたい。
・上向きの鼻(いわゆる「ブタ鼻」)をなんとかしたい。
・正面から見たときに鼻の穴を目立たなくしたい。
・鼻を高くしたい。
・西洋人のようにシャープな鼻にしたい・・・

これらのご要望を持つに至る最大の原因は、実は鼻の短さ(短鼻)にあります。例えば鼻が上向きになってしまうのは、鼻翼の位置に対して鼻の長さが短いため、鼻尖の位置が上がってしまうからです。また鼻翼の付け根が鼻尖より下に位置すると、鼻の穴が目立ちやすくなります。短鼻を修正すれば、日本人が持つ鼻のコンプレックスの多くを解消できるのです。

短鼻の程度が軽い場合や、ほんの少しの調整でご満足いただける場合には、鼻尖部に耳介軟骨を移植する方法で対応します。耳介軟骨の厚みは1枚平均1mm程度なので、通常は2〜4枚重ねて縫合することで厚みを確保します。数mm程度(5mm未満)の修正であれば、この方法が適しています。この施術を「鼻尖延長術」といいます。

しかし重度の短鼻の場合や、より大きな改善をお望みの場合には、「鼻中隔延長術」がお勧めです。鼻中隔延長術なら、5〜7mmに及ぶ、短鼻の大幅な改善が可能になるからです。

鼻柱隔延長術は、その名が示すように、鼻中隔と呼ばれる部分を長くする施術です。

鼻の形状を作り上げているのは骨と軟骨ですが、上から鼻骨、外側鼻軟骨、鼻翼軟骨となっていることは、これまでにもご説明した通りです。

Fig1.jpg

外側鼻軟骨と鼻翼軟骨は左右に分かれており、その間に薄い板状の軟骨が挟まれています。これが鼻中隔軟骨です。この鼻中隔軟骨を取り出し、鼻中隔の延長に利用するのが、鼻中隔延長術なのです。

この施術は高度なテクニックが必要になるため、対応できるクリニックは限られています。また軟骨同士を部分的に分離して組み替えることになるため、3次元的なセンスも必要です。

鼻全体を伸ばすため、軟骨まわりの組織が柔軟であることも必要です。ただし日本人は鼻の組織が西洋人に比べて柔らかいので、これが問題になるケースは少ないようです。

なお鼻中隔延長のためにL型インプラントを使うクリニックもあるようですが、この方法ではインプラントが上に移動しやすく、数ヶ月後にブタ鼻になってしまうか、インプラントが鼻尖を突き破ってしまうことがあります。もしクリニックからインプラントによる鼻中隔延長を提案されたら、必ず断るようにしてください。

それでは鼻中隔延長術はどのように行うのでしょうか。これについては次回ご説明します。
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2012年05月22日

プチ隆鼻(ヒアルロン酸注入法)

 鼻筋にヒアルロン酸などを注入することで、鼻を高くすることもできます。これがいわゆる「プチ隆鼻」です。プチ隆鼻はメスを使わず、注射で注入を行うだけなので、5分程度で施術が終わり、ダウンタイムもありません。そのため気軽に受けることができます。

 また単に鼻を高くするだけではなく、斜鼻(顔面強打などによって鼻筋が曲がってしまうなど)、軽度のわし鼻、鼻の穴が目立つケースなどにも適用できます。ボリュームの足りない部分に注入することで、全体的な形を整えることができるからです。

 注入素材の代表格はヒアルロン酸です。ヒアルロン酸は天然多糖体で、生物学的適合性が高く、非アレルギー性なので即日注入できるという特長があります。その効果の持続期間は約1年ですが、実際にはそれ以上吸収されずに残ることが多いようです。また、もし気に入らない場合には、ヒアロニダーゼによる溶解も可能です。このように数多くの利点があるため、広く使われています。

 ただし、ヒアルロン酸による隆鼻にはひとつだけ欠点があります。施術者が注意深く細い鼻筋を作ったつもりでも、数ヶ月かけてヒアルロン酸が徐々に周囲に広がり、細くて明解な鼻筋を維持することが難しいことです。

 ヒアルロン酸以外の注入素材としては、アクアミドやレディエッセ等があります。アクアミドとはジェル状の製剤で、ヒアルロン酸よりも効果が長く持続するという特長があります。またレディエッセは骨や歯を形成するために必要な「ハイドロキシアパタイト」系の注入剤です。これは強度が強く、やはりヒアルロン酸よりも効果が長続きします。

 ヒアルロン酸を含め、これらの注入素材はいずれも非アレルギー性であり、FDA(米国における厚労省)、CE(EU圏の安全規格)にも認可され、美容医療分野でも広く使用されています。料金的にリーズナブルで、患者様の希望に沿って注入量を調節できる等のメリットがあるため、最近では増加の一途をたどっています。

 注入手順は以下の通りです。

(1)注入前に患者様を座位にして注入範囲をマーキングします。

(2)鼻根部の中央の最も低い部分を中心に、少しずつ注入しながら馴染ませていきます。

(3)患者様には適宜鏡を見ていただき、不足している場合には0.1cc単位で追加しながら、理想的な高さまで持っていきます。

下の写真は施術例です。

Fig1.jpg
施術前

Fig2.jpg
施術後(二重まぶたの施術も同時に行っています)

 斜鼻の場合は、本来あるべき理想的な鼻筋の中心にマーキングし、左右対称を目指して、足りない部位を補っていきます。但し、陥凹側にボリュームを付けるため当然鼻筋が太くなります。したがって斜鼻の程度が強い場合は外科的治療をお勧めします。

 正面から見て鼻の穴が目立つケースでは、鼻孔縁に注入します。ただしこれにも限界がありますので、医師とよく相談して決めてください。

 外科的治療を行う前に、施術後のシミュレーションのために、プチ隆鼻を行うケースもあります。

 なおヒアルロン酸注入は、鼻先に近い部分ほど、高度な技術が要求されるようになります。鼻先に近くなるほど皮脂腺が多く、うまく注入しないと注入素材が皮脂腺から出てしまうからです。技術力の低いクリニックでは、鼻先への注入を避けるケースが多いようです。もちろんこの場合は、全体的にバランスの取れた形状を作ることは難しくなります。

 「プチ隆鼻」は確かに手軽に行えますが、ドクターの技術力によって仕上がりは大きく左右されます。プチ整形は料金の安さで選ばれることが少なくないようですが、技術力の高さでクリニックを選んだ方が安心だと思います。
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2012年05月08日

わし鼻修正は骨削りと鼻尖挙上術を

鼻先が下を向いて団子のように大きい、まるで魔女を連想させる鼻があります。このような鼻は「わし鼻」と呼ばれています。日本人には比較的少ないのですが、それだけにコンプレックスになりやすいともいえます。

まずなぜわし鼻になるのか、図解しておきましょう。下のイラストは、横から見た鼻の解剖図です。

Fig2.jpg

鼻の形状は、上から鼻骨、外側鼻軟骨、鼻翼軟骨によって形成されています。典型的なわし鼻は、鼻骨が大きいという特徴があります。まず鼻骨の横幅が大きく、鼻骨の先端部分も持ち上がっています。その一方で鼻尖はそれほど上がっていないため、鼻柱全体が丸くて大きい、存在感のある鼻になってしまうのです。

このような鼻を修正するには、大きすぎる鼻骨を削って小さくする必要があります。下の図のように、鼻骨のハンプ(盛り上がった部分)を中心に、全体的にバランスが取れるように「骨削り」を行うのです。

Fig3-2.jpg

まず鼻骨の両サイドを削ります。鼻骨の両側の皮膚を5mm程度切開し、そこに幅2〜3mmのノミを入れて削っていきます。

Fig3-3.jpg

Fig3-4.jpg
次に鼻骨先端部分です。ここは鼻の穴からアプローチし、やはりノミで鼻の稜線部分を削り、形を整えます。

しかしこれだけでは、バランスの取れた鼻にはなりません。鼻筋をすっきりと見せるには、鼻尖の位置を高くする必要があります。これが「鼻尖挙上術」です。

この施術では、左右の鼻翼軟骨の頭側を一部切除し、外側鼻軟骨の頭側に持ち上げるようにして縫合します。アプローチは鼻の穴から行うので、外側には一切傷はつきません。

Fig3-5.jpg

鼻尖の位置を挙上する(上方向にずらす)と、鼻尖の皮膚に余剰ができるため、鼻尖が丸くなることがあります。そのためこの施術を行う場合には、鼻尖縮小も同時に行います。両側の鼻翼軟骨を縫合して引き寄せることで、鼻尖を小さくするのです。

このように複数の施術を同時に行うことで、わし鼻を美しい鼻に修正できます。手術後はその日のうちにお帰りいただけますが、骨削りを行うため、麻酔は全身麻酔を使用します。

下の写真は施術例です。

Fig3-6.jpg

すっきりとした美しいラインになっていることがおわかりいただけると思います。

わし鼻修正は多数の手技が必要になり、骨削りも行うため、対応できるクリニックは限られてきます。また3次元的な美的センスも必要です。ぜひ経験豊富なドクターに施術を任せていただきたいと思います。
posted by コムロ美容外科 at 16:04 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月24日

鼻翼挙上術(鼻の穴が大きく見える人におすすめ)

前回は鼻翼が横に張り出しているケースの修正術を紹介しましたが、今回は正面から見たときの鼻の穴の大きさが、なぜか大きく見えてしまうケースの施術をご紹介します。

前回も述べたように、日本人の鼻の穴は決して大きくありません。鼻の穴が大きく見えている場合でも、鼻の穴そのものが大きいケースは少ないのです。日本人の場合、鼻の穴が大きく見えるのは、鼻翼の位置に問題があるケースがほとんどです。鼻翼の位置が通常よりも下に来ているため、正面から見たときの鼻の穴が大きく見えてしまうのです。

このようなケースで鼻柱の長さが十分にある場合には、「鼻翼挙上術」を行います。施術の内容は以下の通りです。

Step1
まず鼻翼の付け根のラインから、1〜2mmだけ上の部分を切開し、鼻翼を付け根の部分から切り離すと共に、鼻翼の組織の一部を切除します。

Fig2-1.jpg

Step2
切り離した鼻翼をフックで持ち上げて保持しながら、頬側の底面部分に加工を加えます。具体的には、組織の一部を水平方向に紡錘状に切除し、切除したラインを縫合します。こうすることで底面部分の上下方向の長さが短くなります。

Fig2-2.jpg

Step3
短くなった底面部分に合わせて、鼻翼を底面に縫合します。これによって鼻翼の端が上に移動するわけです。

Fig2-3.jpg

麻酔は部分麻酔、施術後はその日のうちにお帰りいただけます。

この施術で重要なポイントになるのが、手術跡をいかにして目立たせないようにするかです。鼻翼を切開する時に、付け根のラインから0.1〜0.2mmだけずらしていますが、これが傷痕を残さないコツです。

付け根のラインに沿って切開を行うと、傷の治りが悪く、縫合跡がデコボコになることが少なくありません。これに対して付け根のラインを外して切開を行うと、縫合後の治りが早く、手術跡がほとんどわからなくなります。なお鼻柱が短い場合には「鼻中隔延長術」を同時に行います。

この施術は「一般的な鼻翼縮小術」に比べて複雑で難しいため、対応できるクリニックは限られてきます。十分な経験を持つドクターを選択することをお薦めします。

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