この施術は基本的に、鼻柱を切開して視野を確保する「オープン法」で行います。軟骨の位置を組み替えることで鼻全体の形を変えていく施術なので、施術箇所の視野が確保しにくいクローズ法で行うことは、適切ではないからです。また手術時間が2〜3時間程度かかるため、麻酔も局部麻酔ではなく全身麻酔を行います。
施術の手順は以下の通りです。
(1)施術を受ける方の耳から、耳介軟骨を取り出しておきます。
(2)鼻柱を切開し、鼻翼軟骨上から鼻骨上までを剥離します。
(3)鼻翼軟骨上の軟部組織を切除し、軟骨をきれいに露出させます。
(4)鼻翼軟骨の頭側(外側鼻軟骨と接している部分)を切除し、外側鼻軟骨との結合を切り離します。これは鼻翼軟骨の位置を動かせるようにするためです。
(5)左右の鼻翼軟骨を切り離し、鼻中隔軟骨の前縁(先端部分)を露出させます。
(6)鼻中隔軟骨の一部を切り取って採取します。
(7)採取した鼻中隔軟骨を2分割します。これは2枚重ねにして強度を確保するためです。
(8)採取して2分割した鼻中隔軟骨を、残してある鼻中隔軟骨の前縁に固定します。これによって鼻中隔軟骨を延長します。鼻中隔軟骨は必ずしも鼻の真ん中に位置しているわけではなく、左右どちらかに偏っているケースが一般的です。そのため採取した鼻中隔軟骨を固定する場合には、元の鼻中隔軟骨が左右どちらに偏っているかによって、固定位置を決めます。例えば右側に偏っている場合には、2枚とも左側に固定すれば、全体のバランスが取りやすくなります。偏っていない場合には、元の鼻中隔軟骨を採取軟骨2枚で挟み込む形で固定します。
(9)延長した鼻中隔軟骨に合わせて、鼻翼軟骨の位置を先端方向にずらします。鼻中隔延長はI型インプラントによる隆鼻術を同時に併用することがあります。I型インプラントの下端に耳介軟骨を付けて、鼻尖部分の形を整えます。この時、インプラントは経時的に頭側に移動することがあるので、固定が必要です。
(10)最後に全体のバランスを確認した上で縫合します。
この施術のポイントは、鼻翼軟骨の位置を前方にずらすことで、鼻を長くしているという点にあります。鼻中隔軟骨の延長は、あくまでも鼻翼軟骨の位置を変化させるために行うわけです。
長さ方向だけではなく、鼻尖の上下方向の変化もつけることができます。鼻尖をどのような位置に固定するのかによって、鼻のイメージは大きく変わります。
自由度が高い分、ドクターの美的センスも問われる施術なのです。