今回の成都行きのそもそものきっかけとなったのは、私が担当する患者様の中に、中国の女性がいたことです。実はこの女性の夫君が、中国で有力な建設デベロッパーの総裁を務める「遅さん」であり、私の施術の話を女性から聞いて、美容外科に興味を持たれたのです。遅さんとは昨年春頃に初めてお会いし、日本の美容外科について説明をさせていただきました。そしてその半年後には「中国で美容外科クリニックを展開するので力を貸して欲しい」という話をいただき、視察旅行に行くことになったのです。
6月6日の診療を終え、15時頃に銀座から成田へ行き、17時25分発のANAで成都へ。昔は北京等で乗り継ぐ必要がありましたが、今は直行便が出ており、便利になりました。飛行時間は約6時間。時差は1時間です。今回の視察には、元コムロ美容外科のドクターで、現在は「よこはまエーブクリニック」で院長を務めている阿部 聖孝先生も、ご同行くださいました。成都に到着後は、遅さんの会社が建てた「オークウッドホテル」にチェックイン。もう夜も遅いので、そのまま就寝します。
6月7日は朝から視察を開始。まずは遅さんが現在準備中の2号店を見に行きます。
まだ工事中ですが、かなり広いスペースが確保されています。コムロ美容外科の銀座院と比べると、5倍程度の床面積がありそうです。さすが中国はスケールが大きいと感心させられました。
次に、美容外科が集まった「四川米兰柏羽(Bravou)」を見学しました。とりあえず阿部先生と入口ホールで記念撮影です。
入口ホールも立派ですが、外観もなかなか壮観です。写真を撮るのを忘れてしまったので、代わりにパンフレットの写真を載せておきます。
この中が全て美容外科だというのですから、やはり日本とはスケール感が違います。
昼食は下の写真のお店で四川料理。麻婆豆腐と担々麺をいただきました。
ここでちょっと珍しいものを発見。青島ビールの原酒です。アルコール度数も高いようです。紙で包まれたビールなんて、初めて見ました。
午後は遅さんが作った美容クリニック1号店の視察です。ここもかなり広く、内装もきれいです。下の写真は、スタッフの皆さんとの記念撮影です。
手術室を見て気になったのが使っている機材です。一般病院レベルのものがほとんどで、このままでは日本の美容外科のレベルに到達するのは難しいのではないか、という印象を持ちました。たとえば全身麻酔の機材も、日本では酸素・笑気ガス・エアの3種類が出るようになっていますが、私が見たものは笑気ガスが出ないものでした。笑気ガスは全身麻酔の補助的な役割を果たすものであり、これなしで全身麻酔を行うと、麻酔から覚めた時に気分が悪くなりやすいのです。遅さんには、できるだけ最新の機材を揃えた方がいいと、助言させていただきました。
また1号店のドクターとのミーティングも行いました。ドクターからは豊胸手術に関する質問をいただき、私からは日本の最新状況を説明させていただきました。
一連の視察を終えた後は、広東料理の夕食。下の写真は夕食後の記念撮影。向かって左から2人目の、背の高い方が遅さんです。
その後はオークウッドホテルに泊まり、翌朝9時5分発のANAで帰国しました。
すでに2店舗目の準備を成都で進めている遅さんですが、今後は中国の主要都市に、合計8店舗を展開する計画だということです。そのため今後もドクターの育成を手伝って欲しいというお話をいただいており、中国での医師免許取得の手配も進めてくださることになりました。私は4年前に中国の医師免許を取得したことがあるのですが、有効期限が1年であり、現在はすでに期限が切れています。今回は2度目の医師免許取得であり、そのための健康診断を受けるため、今年8月には再び成都市に行く予定です。
中国の美容外科はまだ黎明期という印象ですが、土地が広く人口も多いため、本格的に立ち上がれば大規模なビジネスになりそうです。これからどうなっていくのか、楽しみです。